鳩胸のようにゆがんだ胸郭で考えた

症例は、80歳男性。

腹臥位で、胸部と腹部の触診をした時、

肋骨が普通でなく、盛り上がって、下図のように、

季肋部が崖のようにな段差ができているのに驚いた。

鳩胸のようなものである。

この男性には、肺や心臓に異常はないし、

どうして、このような歪みが生じたのか?

 

とりあえず、PCのペイントアプリを使って、肋骨を並べてみることにした。

 

その前に、簡単な肋骨の説明をする。

 

肋骨は、全部で12本あるが、

胸郭を作る肋骨は第1肋骨から第10肋骨。

下2本は浮遊肋骨である。

胸郭を構成する肋骨のうち、

1から7までは直接胸骨に付着しているが、

8から10は、下図のように軟骨で間接的にくっついている。

図を作成する。

まずは、胸骨の位置を決める。

 

胸骨は傾斜をつけて、少し持ちあげた位置にした。

下図

次に、上の肋骨から順に等間隔に並べてみた。

そうしたら、

12個の胸椎がほぼまっすぐになったのである!

 

この男性の脊柱が、胸椎の後弯も腰椎の前弯も消失し、

まっすぐな脊柱であることは知っていた。

しかし、それが肋骨の歪みを作っていることには気づかなかった。

 

それに加えて、この男性は、頚部前側の筋肉が硬縮し、

鎖骨と胸骨が上部に引っ張り上げられていた。

その2つが重なって、

鳩胸のような胸郭の歪みができたのであろう。

 

思い返すと、このような鳩胸の胸郭をした、年配の患者さんは

他にもいた。

歳を取ると、このような歪みも生じるのだ。

 

その原因は、

胸骨が上に引っ張られたことと、

胸椎の後弯が消失したことである。

 

また一つ、歪みの原因が理解できた(^^)

膝について考えてみたシリーズ3

膝について考えてみたシリーズ その3

踝(くるぶし)のゆがみ

 

右膝に違和感が出てから、いろいろなときに、足のゆがみを考えていた。

 

膝に関係する筋肉は、

股関節や足関節もまたがってきているものもあるので、

股関節や足関節のゆがみも関係がある。

 

そこで、座って膝を曲げ、足裏を合わせてみたときに、

写真のように、踝(くるぶし)がゆがんでいることを発見した。

 

なぜ、くるぶしだけがゆがんだのだろう?

 

解剖の本を持ち出して、

くるぶし関係する筋肉を調べてみたら、発見しました(^^)

足底筋

です!!

そして、足底筋が硬縮すると、図のようにくるぶしがゆがみます。

そこで、足底筋の筋肉部分は膝窩なので(ふくらはぎ部の腱は、奥の方の上に細くて狙えないし)

膝窩に鍼を数本して、足底筋を緩めて伸ばしてみた。

そうしたら、

写真を撮った角度が微妙に違うので、わかりにくいかもしれませんが、

ゆがみはかなり取れました。

そして数か月たっても、ゆがみが取れたままです(^^)

 

ああ、すっきり(^^)

 

膝について考えてみたシリーズ2

シリーズ1の続き

膝外側の筋肉が硬縮していて、膝内側に痛みが出る

私の膝で、歩くとき、階段の昇降時に痛いのは、膝関節周囲と主に膝関節外側部である。

それなのに、膝を曲げたとき、内側部に痛みが出るし、

膝を曲げた可動域に異常があった。

 

その原因はどこだろうと考えてみた。

そこで考えたことを投稿する。

 

膝周囲の筋肉や靭帯、特に外側部の筋肉や靭帯が柔らかくてよく伸びれば、

膝内側の軟骨に負担をかけずに、膝を内転させることができる。

しかし、外側の筋肉や組織が伸びないと、内側の軟骨に過度な圧力がかかる。

 

だから、内側部の軟骨が異常に圧縮されて痛みがでたのである。

 

なんか、すっっきり(^^)

だから、ひざの内側部に痛みが出ても、

ちゃん外側部の筋肉も緩めなくてはいけないんだ。

 

今度から、膝の関節全体を緩めることも念頭において治療しま~す。

 

こういう痛みの出方あるよね。

片方の筋肉が伸びないから、関節をゆがめて反対部位に痛みがでること。

例えば、梨状筋が硬縮しているとき、股関節内旋させると、

鼠径部の方に痛みが出たり。

 

膝について考えてみたシリーズ1             膝を組むと痛い

最近右膝の調子が悪いので、膝について考えてみた。

 

そのシリーズの1 膝を組むと痛い

 

仰向けになって、膝を立てた状態で膝を組む姿勢をすると、

右足を組んだ時だけ、右内側が痛くなる。

それで、悪くない左膝と調子の悪い右膝を交互に組みなおしたりして、

いろいろな原因を考えていて、

ふっと、あることに気付いた。

右足は、曲がってないのである!

そこで、上前腸骨棘と踝の距離を測ってみた。

左足は2cmなのに対し、右足は7cmだあったのである。

 

これは、

床に座って膝を曲げ、両足裏を合わせて、膝を開く(股関節を外旋)させたときの

膝の高さのゆがみと似ている。

ちょっと意外な可動域の異常の検査法だったので、報告をします。

膝の検査をするとき、取り入れるといいですね。

 

 

 

ゆがみと筋肉の硬縮

最初はわかりきったことを述べていますが、

最終的に治療を加える筋肉を見分ける大切なポイントになるので、

飛ばさず読んでください。

 

筋肉が硬縮すると、骨の位置を変えようとする力が生まれる

筋肉が老化などで硬縮すると、

筋肉が収縮していない状態(脱力の状態)でも、

骨の位置を変える力が発生するので、

身体のゆがみが生じます。

 

筋肉が硬縮しても、骨が動かなければ、骨との間に張力が生じる

 

筋肉が硬縮しても、骨が動かなければ、骨との間に張力が生じます。

いつも引っ張られていたら筋肉は我慢できません。

異常が生じていることを、筋紡錘から知覚神経で脳に伝えられるかもしれません。

(常時筋肉が伸びている違和感の感覚といして)

しかし張力に順じて骨の位置が変われば、筋肉に張力は発生しません。

そのため、骨の位置が動くことが可能であれば、骨の位置が変化して、ゆがみが生じるのです。

 

実際は、骨にかかる筋肉の力の総和でゆがみが生じる

 

しかし一般的な骨は複数の筋肉が関係しています。

たくさんの筋肉の伸縮の影響を受けて、姿勢を保ったり、運動をしています。

だから、骨の位置が変わりゆがみがでるか、実際のゆがみの形は、

他の筋肉との力のバランス(力の総和)で変わってくるのです。

 

筋肉の硬縮が、他の筋肉を損傷させていることもある

 

しかしそれが、関係するすべての筋肉にプラスマイナス0のゆがみになっていればいいのですが、

一つの筋肉にとっていいことが、他の筋肉を常時引っ張っていることになったりもするわけです。

すべての筋肉が同じように硬縮すれば、骨にかかる力の総和も0なので、痛みを生じません。

しかし、総和がプラスやマイナスであれば、どこかの筋肉にその負担がかかり、

度を超すと、筋肉や腱を損傷させ、痛みを作ります。

ある筋肉の硬縮が、他の筋肉の損傷を作るのです。

そういう時は、痛みが出ている部位だけでなく、

痛みの原因の筋肉にも鍼を刺して、筋肉を緩めてやらなくてはいけません。

そういう痛みの生じ方もあることを頭の片隅に入れておいてください。

 

 

硬縮筋肉を特定すること、筋肉の損傷原因を解明することは難しい

 

どの筋肉が硬縮しているのかを見分けるのはとても難しいことです。

ゆがみや痛みを生じさせている部位に関係する筋肉は複数あるからです。

 

見た目にはゆがみはなくても、周囲の筋肉がバランスよく硬縮していることもあります。

 

筋肉が、骨のどの部位に付着し、どの骨と骨を結び、

その筋肉が硬縮したらどういう張力を生むか、

収縮したら、どういう張力を生むかを、

一つ一つ頭に入れておかないと、

実際の患者さんを目の前にして、

”ゆがみの形と、多数の筋肉の力関係と、痛みの関係” から、

施術部位を決めることはできません。

 

実際はその上に、骨や軟骨た組織の変性まで考えないといけないのですから、

もっと複雑になります。

 

治療を行うことは、難しいのです。