灸頭鍼用塵取りの作り方

今回は、灸頭鍼専用塵取りの作り方を投稿します。(You Tubeにも載せています。)

これは、

 

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用意するものは、

こんな感じ、厚紙にアルミホイルを貼ると、汚れもつきにくく、厚紙が燃えるのを少し防ぐ効果があると思います。

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では、作っていきます。

① まずは、土台になる厚紙灰が頃が落ちないように土手を切ります。大きさは下記のとおり。

② 次に、土台に切り込みを入れます。

③ 今度はそれにアルミテープを貼ります。

アルミテープは、ホームセンターなどで売っています。

幅は5㎝です。

(なければ、アルミ箔を糊などで貼ってもいいと思います。)

下の図のように貼って、切り込みを入れ、折り込みます。

④ 次に灰の土手を作ります、

小さい長方形の方の厚紙を図のようにマークをいれて、切って、糊しろを作り、折ります。

それに写真のようにアルミテープを貼ります。

 

 

 

 

 

⑤ 次は 組み立てます。

 

下図のように、土台に土手を置いてみて、切り込みを入れます。

 

 

⑥ うらを留めて、(私はが見テープで留めました)

⑦ ふちを切り落とします。角は丸くしてください。肌に当たった時に痛いです。

⑧ 最後に裏に下からの高さをメモっておくと、艾の高さを確認するのに便利です。

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これは、灰を取るのにも、熱さを遮断することにも使えます。

灸頭鍼をする時の必需品です。

 

 

 

灸頭鍼の症例 足首痛

患者は本人です。正座から立ち上がるとき、左足首(崑崙付近)が、ビリッと腱繊維数本が切れる感じがしました。

軽い痛みだったので、自然に治るかと放置していたのですが、

徐々に痛みが強くなり、足首全体・足の甲まで痛くなりました。

動かしている方が逆に痛みを感じませんが、じっとしているとジンジン痛みます。(自発痛あり)(腫脹・関節可動痛あり)

 

それで、普通に鍼を数本打って治療したのですが、

その時は楽になるが、次の日は元に戻ります。

(若いころはこれだけで治っていたのに、歳をとると回復力が弱いので、これだけの刺激で治らなくなっているのでしょう)

そこで、灸頭鍼をすることにしました。

 

治療前に足首の前屈・後屈・側屈・回旋で、痛む部位や痛みの程度を調査。(記載省略)

灸頭鍼の方法は、寸35番 艾はセネファの切艾比叡 高さは2cm

 

1・2本目 崑崙付近の圧痛点 ➡ 熱さを感じない  前屈・後屈が楽になる

3・4本目  解谿と中封の間くらいの圧痛部 ➡   だいぶ良くなる

5本目   太谿 ➡ 感覚が自分の足らしくなってきた

6本目   3本目の部位に痛みがあったのでそこに ➡ 関節可動域広くなり腫れも引いた 回すとポキポキ音がするようになる

7本目   アキレス腱部

8本目   3本目の圧痛点

9本目   崑崙部付近に石灰化している部分を見つけたのでそこに ➡ 熱く感じるようになる(効いてきた証拠!)

自覚的に7割治った感じ。治療に疲れたので、9本で終わった。

 

この治療後痛みはでていません。この治療1回で完全に治りました。

たぶん普通の鍼治療では治らなかったでしょう。

灸頭鍼だからこその効果があった症例です。

 

<まとめ・気づいたこと>

・加齢で回復力が弱く、普通の鍼治療で治りの悪い関節痛に、灸頭鍼が効果があった。

・一関節の治療に9本の灸頭鍼をした。(最初は熱くなかったが、治ってくると熱さを感じた)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

灸頭鍼での失敗例その1~火傷の観察~

灸頭鍼で火傷~その1~

ー鍼体ーに沿って

内部が”炭化するほどの火傷”

をしました!

 

<いきさつ>

私は胃が悪いので、灸頭鍼のいろいろな実験の中で、
腹部(中脘穴)に灸頭鍼をすることにしました。

鍼は、2寸の5番、セネファの切り艾”比叡”を使いました。

最初は、切り艾の高さを体表から2cmにしました。
そしたら、熱さが全然物足りなかったので、
同じ部位で、2回目の艾に火を付けました。

そして、1回目が物足りなかったからと、
艾の高さを1cmにしたのです!!

艾が燃えていくにつれ、とても熱い!!!
我慢できないくらい熱くなりました。

しかし、鍼を触ることはできません。

鍼を抜くことも、高さを変えることもできません。

火のついた艾が転がり落ちる方が危険です。

絶対火傷をする!と思いました。

しかし、火傷はできるだけ軽いものにしなくてはなりません。

とりあえず、灰取り用の厚紙を、皮膚と艾の間に挟んで、
輻射熱による熱さを防ぎました。

すると、耐えることのできる熱さになったので、
艾の火が消えるのを待つことにしました。

しかし、鍼本体の熱伝導による火傷は防ぐことはできなかったため、
鍼体に沿った珍しい火傷をしていることだろうと、
経過観察することにしました。

(その経験をふまえて、鍼本体の熱さの調節のために、
濡れたピンセットを必ず用意することにしたのです。)

図の下から経過観察写真が載っています。

<観察>

<考察>

同じ部位に続けて灸頭鍼をしたために、
組織温度が蓄積され、過度な火傷をするはめになったのであろう。

それも2回目は、高さ1cmという、
それだけでも充分火傷をする高さである。

(その後、艾の高さの実験をしました。また投稿しますね)

なんとあさはかなことをやってしまった。
自分だからいいものを、こんなことは他人にはできない!

(私は未だかつて、私以外の人に、
灸頭鍼をしたことはありません。ご心配なく(^^)
施術のためのマニュアルが、自分の中で未完成のため、
只今模索中であります。
今は、自分の身体を使って、いろいろな設定で灸頭鍼をやっています。
灸頭鍼は、大変期待できる治療法だと思います。
なので、安全に患者さんに施術できるようになる日を楽しみにしています。)

<結果>

灸頭鍼によって、鍼本体の温度も過度に高くなると深部火傷をすることがわかった。

時には、深部が炭化するほどの火傷をすることもある。

(内部の状態や、炭化の深さなどは不明)

炭化部は、鉛筆の芯のように、黒く硬い状態である。

そのうち周囲から発赤腫脹してきて、化膿、膿が出るようになった。

約1か月後、中央の瘡蓋(かさぶた)は取れたが、周囲の発赤腫脹は消えなかった。

2か月後に再度水疱ができた。

その後水疱が治ると、3度目の水疱はできなかった。

1年経過して、発赤は消えたが、直径1cmの火傷跡は残った。

たぶん数年は消えないであろう。

 

<後記>

こういう火傷をすることは稀だと思われるので、

記録に残しておきます。

何かのお役に立ててください。

~灸頭鍼~施術のための準備品

灸頭鍼施術のための準備品

 

身体に刺した鍼を直接温める灸頭鍼は、

大きな効果を得ることができますが、
火傷の危険が伴い、
施術には多大な注意を要します。
そのために、施術前の器具の準備は大切です。

灸頭鍼の施術の際に必要な器具を説明していきます。

1.基本の器具
2.温度の管理をするための器具
3.施術後の片づけをするための器具

 

 

1.基本の器具

以前は”温灸用の粗艾”を丸めて作っていましたが、 今は灸頭鍼用の”切り艾”があります。
私は、写真の切り艾を使用しています。

               

 

 ・鍼の鍼柄

プラスチックの鍼柄は溶けます。

鍼柄が金属でないといけません。

 ・鍼の太さ 

鍼が細いと、艾を付けた場合にしなって曲がることがあり、
燃えている艾が途中で落下しやすく危ない。
しならない太さの鍼が理想である。私は、5番の太さを使用しています。

 ・鍼の長さ

普通の鍼施術の際、刺入の深さは、刺し入れない部分で調節できるが、
灸頭鍼の際は、刺し入れない部分の長さを一定にしたいので、
刺入の深さは、鍼の長さで調節しないといけません。(下図)

・その他

・チャッカマン  艾に火をつけるとき、普通のライターやマッチでは、施術者が火傷をする恐れがあるので、
チャッカマンが適当だと思われます。

・マジック    鍼を刺す位置を正確に決めるために使います。

 

 

2.温度の管理をするための器具

灸頭鍼は、受術者が途中で熱いと訴えたからといって、
鍼を抜くことは危険です。

例えば、鍼を素手で触ると、指を火傷します。
また、下手に触ると、火のついた艾が落ちて転がり、
体表に落ちれば、受術者が飛び上がるほど熱い思いをさせますし、
床に転がれば、床が焼けます。
びっくりして、鍼を刺したままで受術者が動いたら、鍼が曲がります。
医療過誤になりかねません。大変なことになります。

だから、温度の管理をするための器具を準備していることはとても大切です。

  • 厚紙

鍼と皮膚の間に挟んで、輻射熱を遮断して温度調節をします(下図)

  • 先の濡れたピンセット

先端にガーゼを巻いたピンセットを作っておき、施術の前に水で濡らしておきます。
鍼体の温度が上がりすぎたとき、軽く挟んで温度を下げます。(下図)

  • 濡れた布

火のついた艾が万が一、体表やベットに転げ落ちたとき、
素早く火を消すことができるように用意しておきます。

 

  • ストップウォッチ

さて火を付けて数分たちました。受術者が熱いと訴えてきました。
しかし、鍼の温度はもっと上がるのでしょうか?
もっと上がるのなら、厚紙や濡れたピンセットで温度を下げないと、火傷をしてしまいます。
それとも既に最高頂点は過ぎているのでしょうか?
それならば、これ以上温度が上がることはないことを説明すれば、
不安はなくなるでしょう。

 

このように熱さの管理をするには、
点火してからの時間の経過と温度の変化を分かっておかないといけません。

 

自分で作った艾玉は、艾の質と丸めた硬さで、燃焼最高温度や点火からの時間が変わるでしょう。
私の場合、セネファの切り艾”比叡”を使用しているので、
点火から燃焼最高点の時間はある程度の目安はつきます。
(湿度や点火の仕方で差はあります)

 

ー私の基本時間は、ー

点火後30秒 温かく感じる

2分     かなり熱くなる(煙がモクモク出ます)

2分~3分    熱さの最高点に達する

(煙は出なくなります)

3分30秒   きつい熱さはなくなる

4分      熱さが身体にしみて気持ち良い

(艾の火が消えます)

※火が消えたかどうかは、目視や艾の周囲に手を持っていき、手で火が消えたかどうかの確認をしましょう。

5分      熱さは感じなくなるが、鍼はまだ熱いので触れない(抜けない)

6分~7分     鍼に触れても大丈夫

 

これは目安です。火のつけ方や室温、湿度によっても変わります。
しかし、ストップウォッチで時間を測りながら施術をしないと、
どう対処していいかわからず、失敗します。
必ずストップウォッチは準備しましょう。

 

私の熱さの対処の目安は、
2分で我慢できない熱さになったら、
まず、厚紙で輻射熱を遮って対応します。

それでも熱かったら、濡れたピンセットで、鍼の温度を直接下げます。

 

 

<参考>深部火傷

私は自分自身の身体にいろいろなやり方の灸頭鍼を施術したとき、いろいろな火傷もしました。
それは、また報告します。

 

 

<参考>灸頭鍼の施術で気を付けること

・鍼はまっすぐに刺す

鍼が斜めだと、艾が落ちやすくなります。

基本はまっすぐに刺しましょう。

・同時に複数の灸頭鍼はやらない

受術者が動いたら、火が付いた艾が皮膚に落ちます。

鍼を簡単に触って抜くこともできません。

同時に灸頭鍼施術をする箇所は、せいぜい2か所だと思います。

・2個同時に火をつけるときは、鍼を刺す部位を5cm以上離す。

2個の灸頭鍼の幅が狭いと、輻射熱が重り熱くなる部分ができます。
途中で鍼を離すことはできませんから、
最初から離して刺しましょう。

・同じ場所に2回目の施術をすると、1回目より熱くなる。

1回で物足りなかったからと、同じ場所に2回目をすると、
思ったより熱くなります。
考慮して施術しましょう。

 

 

3.施術後の片づけをするための器具

やっと、緊張の時間が終わりました。

スムーズにいけば、受術者は施術部が内部から温まり、
とても気持ち良い感覚を味わっていることでしょう。

 

しかし、灸頭鍼は、燃えカスの処理をして終了です。

・手製鍼柄残灰キャッチャー

まだ灰が鍼柄に付いていれば、これを使って灰を取ると、
後の処理が簡単にできます。
下図のように真ん中のV字に鍼を挟んで持ちあげて、灰を取ります。(下図)

皮膚上に落ちた灰は、手製の塵取りと刷毛で履き取ります。(下図)

それでも皮膚上に灰が残っているならば、ティッシュかガーゼ(乾いたもの)で軽くふき取りましょう。

 

 

 

これで、灸頭鍼施術の際に用意しなくてはいけない器具の説明を終わります。

では、火傷に気を付けて、効果ある灸頭鍼をしてください。(^^)/

 

鍼の熱伝導の実験をしたが、思った成果が得られなかった例

 

 

季節は2月。

腰が痛かった。

 

 

 

 

 

 

 

鍼を刺して温めてみようと思った。

 

そうしたら、鍼(金属)の熱伝導の良さで、ただ温めるよりは、深部に熱が伝わると思ったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鍼は、鍼身体・鍼ペイとも金属(ステンレス)の2寸5番4本。

私は赤外線治療器を持っていないので、普通の電気ストーブを代用する。

置鍼は20分の予定。

 

 

 

 

 

 

 

左図のように、横位で熱くない程度(約30cm)に電気ストーブを置いて置鍼した。

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ、それなりに気持ち良い。

 

しかしその時、たまたま鍼ペイを手で触ったら、鍼が冷たいでないか!!

体温よりも冷たい。

温めているのになぜなんだ?

 

その時の気温は15度。

ストーブの当たっている所は温かい。

 

今原稿を書きながら、同じ状態にして温度をはかってみたら。

ストーブが当たって、温かい部位の大気温度も15度だったんだ!

ストーブの赤外線が当たっている皮膚は、温かさを感じているんだ。

でも、ストーブと身体の間の気温は上がってないんだよ。

ストーブの間の気温が上がっていなければ、鍼が温まるはずがない。

でもどうして、皮膚は温かさをかんじているのだろう。

私の気温測定方法がわるいのか?

なんで?と思ったが、横道にそれるので、この問題は今回は置いておく。

 

<実験2>

さっきのストーブで鍼を温めるのに無理があるなら、直接鍼を温めてみることにした。

簡単な方法として、千年灸太陽を貼りつけて温めることにした。

1本の鍼で温度変化を感じることが難しいかと、

さっき使った4本の鍼を利用して、

2個の灸頭鍼で挟んだものと、比較のために何もしないものを用いた。

温度変化を数値で測定するのは、一般人には難しいので、

鍼ペイを指で挟んで温かさを比べる方法と、

鍼ペイを咥えて唇で温かさを比べる方法で試してみた。

 

千年灸が充分温まったところで、鍼の温かさを確認してみた。

数分手に挟んでみたり、口に咥えてみたりしたが、

若干違うかなと思う程度の差で、たいした違いを感じなかった。

 

 

 

<実験3>

 

 

 

これは千年灸太陽の温度が低いからかと、千年灸太陽を切り艾”比叡”に変えて実験してみた。

 

しかし、二つの鍼の温度差は思ったほどでなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

図のように鍼先をつまむと温かかったくらいである。

 

 

 

 

 

<結果>

気温が異常に低い時は、鍼(金属)の熱伝導の良さを利用して、身体の深部を温めるは難しいことがわかった。

(置鍼をして赤外線を当てる治療は、鍼の効果と温熱治療の両方を一度に行うということで、それはまた、それなりの違った効果があるのだけれど・・)

今回と違い暖かい季節に、切り艾”比叡”を使って灸頭鍼をすると、火が完全に消えても、1分くらいは熱くて鍼を触れないこともある

だから、気温がかなり影響をしている。

 

ブログには載せていないが、自分の腹で灸頭鍼の実験をして(灸頭鍼を付ける高さの実験)、鍼を刺した位置が炭化するほど火傷をしたこともある。

(その時の写真は撮ってあるので、そのうちに報告します。)

 

また、実験のおまけで、その場の空気温度には差がないのに、

赤外線の当たっている所は温かく感じることに気付いた。

 

思い通りの結果は得られなかったけれど、

鍼を温めることが難しいとわかりました。

 

鍼が金属であることが及ぼす効果について、

またゆっくりと考えていきます。

では~~~。