鍼の熱伝導の実験をしたが、思った成果が得られなかった例
季節は2月。
腰が痛かった。
そうしたら、鍼(金属)の熱伝導の良さで、ただ温めるよりは、深部に熱が伝わると思ったから。
鍼は、鍼身体・鍼ペイとも金属(ステンレス)の2寸5番4本。
私は赤外線治療器を持っていないので、普通の電気ストーブを代用する。
置鍼は20分の予定。
左図のように、横位で熱くない程度(約30cm)に電気ストーブを置いて置鍼した。
まあ、それなりに気持ち良い。
しかしその時、たまたま鍼ペイを手で触ったら、鍼が冷たいでないか!!
体温よりも冷たい。
温めているのになぜなんだ?
その時の気温は15度。
ストーブの当たっている所は温かい。
今原稿を書きながら、同じ状態にして温度をはかってみたら。
ストーブが当たって、温かい部位の大気温度も15度だったんだ!
ストーブの赤外線が当たっている皮膚は、温かさを感じているんだ。
でも、ストーブと身体の間の気温は上がってないんだよ。
ストーブの間の気温が上がっていなければ、鍼が温まるはずがない。
でもどうして、皮膚は温かさをかんじているのだろう。
私の気温測定方法がわるいのか?
なんで?と思ったが、横道にそれるので、この問題は今回は置いておく。
<実験2>
さっきのストーブで鍼を温めるのに無理があるなら、直接鍼を温めてみることにした。
簡単な方法として、千年灸太陽を貼りつけて温めることにした。
1本の鍼で温度変化を感じることが難しいかと、
さっき使った4本の鍼を利用して、
2個の灸頭鍼で挟んだものと、比較のために何もしないものを用いた。
温度変化を数値で測定するのは、一般人には難しいので、
鍼ペイを指で挟んで温かさを比べる方法と、
鍼ペイを咥えて唇で温かさを比べる方法で試してみた。
千年灸が充分温まったところで、鍼の温かさを確認してみた。
数分手に挟んでみたり、口に咥えてみたりしたが、
若干違うかなと思う程度の差で、たいした違いを感じなかった。
<実験3>
これは千年灸太陽の温度が低いからかと、千年灸太陽を切り艾”比叡”に変えて実験してみた。
しかし、二つの鍼の温度差は思ったほどでなかった。
図のように鍼先をつまむと温かかったくらいである。
<結果>
気温が異常に低い時は、鍼(金属)の熱伝導の良さを利用して、身体の深部を温めるは難しいことがわかった。
(置鍼をして赤外線を当てる治療は、鍼の効果と温熱治療の両方を一度に行うということで、それはまた、それなりの違った効果があるのだけれど・・)
今回と違い暖かい季節に、切り艾”比叡”を使って灸頭鍼をすると、火が完全に消えても、1分くらいは熱くて鍼を触れないこともある。
だから、気温がかなり影響をしている。
ブログには載せていないが、自分の腹で灸頭鍼の実験をして(灸頭鍼を付ける高さの実験)、鍼を刺した位置が炭化するほど火傷をしたこともある。
(その時の写真は撮ってあるので、そのうちに報告します。)
また、実験のおまけで、その場の空気温度には差がないのに、
赤外線の当たっている所は温かく感じることに気付いた。
思い通りの結果は得られなかったけれど、
鍼を温めることが難しいとわかりました。
鍼が金属であることが及ぼす効果について、
またゆっくりと考えていきます。
では~~~。